配達パートナーの確定申告ガイド

フードデリバリー・即時配送の収入は「事業所得」または「雑所得」。専業・副業配達員の経費計上と申告方法を解説します。

配達パートナーの所得区分

Amazon Now、Uber Eats、出前館、Rocket Now、menu などのフードデリバリー・即時配送サービスで得た収入は、給与所得ではなく事業所得(または雑所得)として扱われます。配達パートナー(ギグワーカー)は業務委託契約の個人事業主という位置付けです。

確定申告が必要なケース(所得税):

  • 配達が本業で、年間所得が基礎控除額(合計所得132万円以下の方は95万円)を超える場合
  • 会社員の副業で、年間所得が20万円を超える場合

住民税の申告に注意:「20万円以下で所得税の確定申告不要」は所得税のみの特例です。住民税は金額に関わらず申告が必要なため、確定申告をしない場合はお住まいの市区町村に住民税申告を別途行ってください。

住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きのため、所得税は非課税でも住民税は課税される場合があります。

※ 所得 = 収入 − 経費。経費を正しく計上することで課税対象額を抑えられます。

※ 基礎控除額は令和7年度税制改正に基づきます。合計所得金額により控除額は段階的に異なります。

事業所得と雑所得の違い:

所得区分は「本業=事業所得/副業=雑所得」と単純には決まらず、継続性・規模・営利性などで判定されます。収入300万円以下で帳簿書類の保存がない場合は原則として雑所得として取り扱われます。

  • 事業所得 → 青色申告可能、赤字の損益通算・繰越あり
  • 雑所得 → 青色申告不可、赤字の損益通算・繰越なし

※ 判定に迷う場合は税理士への相談をおすすめします。

Amazon Now 配達パートナーの売上管理

Amazon Now の配達パートナーは Amazon Flex アプリで事前にブロック(時間枠)を予約して稼働します。確定申告に向けて、以下のポイントを押さえましょう。

  • 売上は Amazon Flex アプリ上の明細で確認。振込額は手数料等差し引き後のため、総額ベースで売上計上が必要
  • アプリ明細は一定期間を過ぎると閲覧不可になる場合あり → 定期的にスクリーンショット/PDFで保存
  • Amazon Flex の報酬は通常源泉徴収なしで支払われる(業務委託契約のため)
  • 支払調書がなくてもアプリ明細と入金履歴で売上証明は可能

フードデリバリー配達員が経費計上できるもの一覧

車両本体
自転車・バイクの購入費。10万円未満は消耗品費、10〜30万円は青色申告者なら少額減価償却資産の特例で一括経費可。
ガソリン代
原付バイク・二輪車の燃料費。レシートを保管。
充電費用
電動アシスト自転車のバッテリー充電にかかる電気代。
駐輪・駐車場代
コインパーキング等は旅費交通費、月極駐輪場は地代家賃として計上。
通信費
配達に使用するスマートフォンの通信料(按分計上)。
スマートフォン本体
配達に使用するスマートフォンの購入費。10万円未満は消耗品費として全額経費(按分計上)。
車両メンテナンス
タイヤ交換、修理、オイル交換などの整備費用。
雨具・装備
レインウェア、手袋、ライトなどの配達用装備。
ヘルメット
自転車用ヘルメット(2023年4月より着用努力義務化)。備品として経費計上可能。
配達バッグ
配達用リュックサック・コンテナの購入費。
保険料
自賠責保険・任意保険(バイク)、自転車保険(個人賠償責任保険)。多くの自治体で自転車保険の加入義務化。
レンタル・リース料
電動アシスト自転車・原付バイクのレンタル/リース費用。月額利用料を経費計上。
スマホ周辺機器
スマートフォンホルダー、モバイルバッテリー、防水ケースなどの消耗品費。
作業着・安全ベスト
配達用の作業着、安全ベスト、反射材付きウェアなどの購入費。

※ 按分計上とは、プライベートと配達業務で兼用しているものについて、業務使用割合に応じて経費計上する方法です。スマートフォン通信費は使用割合(例: 50%)で按分します。自転車配達・原付配達・軽貨物など車両区分に応じて該当する項目を計上してください。

白色申告 vs 青色申告

白色申告
帳簿:簡易簿記
手間:低い
  • 手続きがシンプル
  • 事前届出不要
  • 特別控除なし
  • 赤字の繰越不可
青色申告(10万円控除) 最大10万円控除
帳簿:簡易簿記
手間:中程度
  • 10万円の特別控除
  • 赤字の3年繰越
  • 事前に届出が必要
青色申告(65万円控除) 最大65万円控除
帳簿:複式簿記 + e-Tax
手間:高い
  • 最大65万円の特別控除
  • 赤字の3年繰越
  • 家族への給与を経費にできる
  • 複式簿記が必要
  • e-Taxでの提出が条件

開業届・青色申告承認申請書の提出期限

手続き 提出期限
個人事業の開業届出書 開業から 1か月以内
青色申告承認申請書 開業から 2か月以内(1/16以前開業はその年の3/15まで)
青色申告を翌年から始める場合 その年の 3月15日まで

※ フリーランス配達員として本格的に稼働する場合は、開業届と青色申告承認申請書を早めに提出しましょう。

配達員が知っておきたい帳簿付け・確定申告の準備方法

  • 青色申告で最大65万円控除。事前に「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、複式簿記で記帳+e-Tax申告すれば最大65万円の特別控除が受けられます。配達パートナーの最大の節税手段です。
  • 毎月の記帳を習慣に。確定申告の時期にまとめてやると抜け漏れが発生しやすくなります。
  • レシートは写真で保管。紙のレシートは劣化するので、スマホで撮影してクラウドに保存しましょう。領収書・請求書等は保存義務があり、前々年の収入300万円超の場合は5年間の保存が必要です。
  • 配達用と私用の口座を分ける。収入と経費の管理がシンプルになり、確定申告がスムーズに。
  • 会計ソフトを活用。freee や マネーフォワード などのクラウド会計ソフトで帳簿作成を自動化できます。

配達員の確定申告でよくある疑問・注意点

確定申告の期間

毎年2月16日〜3月15日(土日により前後する場合あり)。期限を過ぎると延滞税や無申告加算税の対象になる可能性があります。

インボイス制度

適格請求書発行事業者として登録している場合、20万円ルールに関係なく消費税の確定申告が必要です。

扶養に入っている方へ

学生や配偶者など扶養に入っている方は、合計所得金額が58万円(2025年分以降)を超えると扶養から外れ、扶養者の税額に影響します。社会保険の130万円の壁にもご注意ください。

雑所得の帳簿・書類保存義務

副業として雑所得(業務)で申告する場合、前々年分の収入が300万円超なら請求書・領収書等の5年間の保存義務、1,000万円超なら収支内訳書の添付義務があります。

副業を会社に知られたくない方へ

確定申告書で住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」にチェックすれば、副業分の住民税が会社の給与から天引きされず知られにくくなります。

予定納税に注意

前年の所得税額が15万円以上の場合、7月・11月に予定納税が必要です。配達で稼ぎが増えた翌年、想定外の納付書が届くことがあります。

会社員を退職して専業配達員になった方へ

国民健康保険(退職から14日以内)と国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要です。これらの保険料は「社会保険料控除」として全額所得控除の対象になります。

確定申告に必要な書類チェックリスト

  • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
  • 銀行口座情報(還付金受取口座)
  • Amazon Flex 売上明細(1月〜12月分)
  • 経費の領収書・レシート
  • 国民健康保険・国民年金の支払証明書
  • 生命保険料控除証明書など各種控除証明書
  • 前年の確定申告書(2回目以降の場合)

配達パートナーの確定申告 FAQ

Q. 配達員が確定申告しないとどうなりますか?

無申告加算税(15〜20%)と延滞税(年7.3〜14.6%)が課されます。悪質な場合は重加算税(35〜40%)の対象にもなります。

Q. 副業の配達収入は本業の会社にバレますか?

住民税の納付方法で「普通徴収(自分で納付)」を選択すれば、副業分が本業の給与から天引きされず会社に知られにくくなります。

Q. Uber Eats から Amazon Now に切り替えた場合、申告方法は同じですか?

基本的には同じです(事業所得または雑所得として申告)。ただし売上明細の取得元がアプリごとに異なるため、Amazon Flex アプリから明細を保存するようにしましょう。

Q. 赤字の場合も確定申告は必要ですか?

所得税の申告義務はありませんが、事業所得で青色申告をしていれば赤字を3年間繰越できるため申告がおすすめです。また、事業所得の赤字は給与所得など他の所得と損益通算(相殺)が可能です。ただし雑所得の場合は損益通算ができないため、所得区分の判定が重要です。

Q. 複数のフードデリバリーサービスを掛け持ちしている場合は?

全ての収入を合算して申告する必要があります。合算した所得が20万円や95万円などの基準を超えているかも合計額で判断されるため、サービスごとの売上を明細で管理しておきましょう。

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※ 本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務相談は税理士にご確認ください。

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